ボサノヴァのコンピングはコードのルートと5thを交互弾きながら上声でリズムを刻む特徴的なスタイルです。
リズムにはいろいろなパターンがありますが、ここでは最も基本的なパターン1つに絞って紹介していきます。
ボサノヴァのコンピングを覚えておしゃれな雰囲気を味わってみてください。
記譜について
ボサノヴァは4分の2拍子で記譜されます。
一般的なボサノヴァの記譜
しかしリアルブックでは4分の4拍子で記譜されているので、ここでは4分の4拍子で記譜していきます。
ジャズでの記譜
基本的な演奏法とリズム
ボサノヴァのコンピングは、右手の親指でベース音、残りの指でコードを弾きます。まずはベース音を親指で弾くことに慣れましょう。
C6(9)ベース音ルート
ルート音より低い5度を弾ける場合は交互に弾くこともあります。
C6(9)ベース音ルート+5th
ルートより低い5度が無い場合は、ルート音を連続で弾きます。高い方の5度はあまり使われません。
親指で弾くベース音に慣れてきたら残りの指でコードを弾いてみましょう。
ボサノヴァでよく使われるリズムパーターン1
リズムパーターン1+ベースの5th
弾き方に慣れてきたらコード進行で練習していきます。
リズムパーターン1+コード進行
基本のリズムを覚えたら新しいリズムパターンを練習してみましょう。
ボサノヴァでよく使われるリズムパーターン2
リズムパーターン2+ベース音の5th
コード進行上でリズムパーターン2を使ったコンピング
上記2つのリズムパターンがボサノヴァの王道コンピングです。弾き方が身についてきたらII-V-Iを使って練習していきましょう。
メジャーII-V-Iでの練習
ここではCメジャーキーでのII-V-I、Dm7-G7-CMa7を例に紹介していきます。各コードに9thや13thのテンションを加えることでボサノヴァの雰囲気を演出できます。
リズムパターン1を使ったコンピング
上声の和音(4〜2弦)を安定して弾けるようになったら、4、3弦と2弦を分けて弾いてみましょう。4、3弦は人差し指と中指、2弦は薬指で弾きます。
コードの弾き方を変えたコンピング
コードの音を分散させることで音に広がりが出ます。指弾きならではなのでぜひ取り入れてみてください。
トップノートを意識する
コンピングはトップノート(一番高い音)を意識することも大切です。トップノートの動かし方は次の4つ。
- 下降させる
- 上昇させる
- 維持する
- 上記3つを組み合わせる
まずは下降から弾いてみましょう。
トップの音を下降させたコンピング
トップノートの下降に合わせて、ベースも下降できるようにDb9を使っています。ポジションを変えたバージョンも弾いてみましょう。
6弦ルートのポジションとリズムパターン2を使ったコンピング
トップの音を上昇させたコンピング
トップの音を維持させるコンピング
トップノートを動かす手法はコンピングの基本です。メロディを作るイメージでトップノートを意識してみてください。
マイナーII-V-Iでの練習
キーCマイナーのII-V-I、Dm7(b5)-G7-Cm7でコンピングしてみましょう。メジャーキーと同じように、基本のパターンからはじめて徐々に難易度を上げていきます。
基本のパターンを使ったコンピング
コードの弾き方を変えたコンピング
ボイシングを変えたコンピング
トップノートを動かすコンピング
トップノートを自由に動かすコンピング
6弦ルートのポジションを使ったコンピング
G7で#9、b9を動かすコンピング
トップノートの動かし方に合わせてボイシングを覚えていくのが効率的です。自分の弾きたい音がトップになるカッコいいボイシングがないか常に探してみてください。
ドロップ2とドロップ3のボイシングはジャズコードのページでまとめています。
How insensitiveでのコンピング
ここでは同じリズムでルート音のみを弾いたシンプルなコンピングを紹介します。
How insensitiveコンピング例
ボサノヴァは同じリズムパターンでコンピングしても雰囲気を出せるのが特徴です。基本のパターンに慣れてきたら応用編としてTristeで練習してみましょう。
Tristeでのコンピング
今までのまとめとして、リズムパターン、右手の弾き方を組み合わせたアップテンポのコンピングに挑戦してみましょう。
Tristeコンピング例
基本のパターンでも右手の弾き方を変えたり、トップの音を変えたりすることでサウンドの幅が広がっていきます。慣れて来たらBlue Bossaやイパネマの娘、Desafinadoなど他のスタンダードでも練習してみてください。
ボサノヴァコンピングが学べる教則本
コンピングに関する教則本は数少ないですが、この本さえ持っていればボサノヴァコンピングの全てが学べるといっても過言ではない教則本がネルソン・ファリアのブラジリアンギターブックです。
ネルソン・ファリア(Nelson Faria)
ブラジリアン・ギターブック日本版(amazon詳細ページ)
ボサノヴァのみならずブラジリアンのリズムを使ったコンピングを紹介している教則本。付属CDの演奏がハイクオリティで素晴らしく、聴いているだけでも上達しそうです。五線譜のみでTAB譜は付いていませんがコードダイアグラムが付いています。
全編英語の直輸入盤もあります。
TheBrazilianGuitarBook直輸入盤(amazon詳細ページ)
ボサノヴァコンピングが学べるおすすめCD
お気に入りのギタリストのCDを聴くことで、コンピングの極意を盗むことができます。ここではジャズギタースタイルマスターがおすすめするギタリストのコンピングが聴けるCDを紹介します。
ジョアン・ジルベルト(Joa~o Gilberto)
Amoroso Brasil(amazon詳細ページ)
WaveやTristeといった王道スタンダードのコンピングを学べます。
アントニオ・カルロス・ジョビン(Anto^nio Carlos Jobim)
Wave(amazon詳細ページ)
ジョアンのヴァージョンとはキーが違うWave、Tristeのコンピングが学べます。
Elis and Tom(amazon詳細ページ)
エリス・レジーナ(Elis Regina)と共演のアルバムでの演奏。上記とキーの違うTristeの演奏が聴けます。
ジョー・パス(Joe Pass)
We’ll Be Together Again(amazon詳細ページ)
トローンボーン奏者J.J.Johnsonとのデュオ演奏で、BlueBossaやWaveでの演奏が聴けます。コンピングはもちろんソロギターでのアドリブも学べます。
ネルソン・ベラス(Nelson Veras)
Solo Session Vol.1(amazon詳細ページ)
全編ガットギターでのソロ演奏ですが、最先端のジャズサウンドでTristeを堪能できます。
Jamey Aebersold
Antonio Carlos Jobim(amazon詳細ページ)
プレイアロングシリーズでおなじみのJamey Aebersold。本書ではアントニオ・カルロス・ジョビン作曲のスタンダード12曲のギターコンピング(全編ガットギター)が聴けます。楽譜はついていないので、コンピングをコピーするイヤートレーニングにも最適です。
この記事へのコメント
こんにちは。
いつも参考にさせてもらっています。
この記事に限らずですが、演奏サンプル音源のバッキングトラックはどうやって作っているんでしょうか?
音源ごとにわざわざ演奏者を集めてレコーディングしているとも思えませんし。。
もしDTMだったら、バッキングトラックは何のソフト・音源で作っておられますか?
手作業で打ち込み、ベース録音など時間をかけて手作りされているのでしょうか?
サイト参考にして頂けて光栄です。
バッキングトラックは全てMIDIの打ち込みで作っています。
使用ソフトは
・Trilian(ベース音源)
・BFD3(ドラム音源)
BFD3のMIDIループを使って基本のドラムパターンを作って、ベースは手作業で打ち込みしています。