m7(b5)コード上でロクリアンスケールのジャズリックを使ったアドリブ

m7(b5)で使えるスケールの中でよく使われるロクリアンスケールを使ったアドリブの基礎練習法を紹介します。

マイナーキーのIIm7(b5)を想定していますが、Inner Uageのように、m7(b5)コードが4小節続く曲でも応用可能です。

ここでの練習法を実践すると、以下の2つができるようになります。

1. ロクリアンスケールをジャズらしく演奏できるようになる
2. m7(b5)が続く曲でもアドリブできるようになる

独特な響きをもつロクリアンスケールを覚えて、アドリブに活用してみてください。

Dm7(b5)の響きとバッキングトラック

Dm7(b5)を例にDロクリアンスケールを使っていきます。

アドリブに入る前にコードの響きを覚えましょう。そのためにバッキングトラックを自分で作ります。

コードフォームはルート、b3度、b5度、b7度の4音を使い、メトロノームに合わせて弾くのがおすすめです。

バッキングパターンを4つ紹介するので、その中から気に入ったものを選んで録音してみてください。2、4拍に鳴らすクリックに合わせて録音することで、リズムを鍛える練習にもなります。

4分音符と8分音符を使ったリズム
シンプルなパターンです。ここで紹介する音源は全てこのリズムを使っています。

アンティシペーションを使ったリズム
4拍目ウラから1拍目アタマへアンティシペーションしているリズムです。

4分刻み
ジャズの王道のリズムです。音源は指で弾いています。

ウォーキングベース
ウォーキングベースを使ったバッキングです。コンピングの練習用にも使えます。

もちろん上記以外の好きなリズムを使って作っても構いません。バッキングトラックが作れたらそれに合わせて練習していきましょう。

ジャズリックを弾いてみよう

ジャズらしい音使いを簡単に学べるのがジャズリックです。リックとはジャズで良く使われる短いフレーズのこと。

Dロクリアンスケールで作ったリックを5つ紹介するのでまずは弾いてみてください。

 

リック1

 

リック2

 

リック3

 

リック4

 

リック5

1、3拍目の音はターゲットノートと呼ばれ、そのリックで伝えたい大切な音になります。

それ以外の音はターゲットノートをおしゃれにするための装飾音です。この装飾音をアプローチノートと呼びます。

リックを弾くときはターゲットノートとアプローチノートを意識してみてください。

ジャズリックの弾く位置とリズムを変える

リックを覚えたらリズムを変えてみましょう。覚えたリックをアレンジしていくことで自在に弾けるようになり、アドリブに活かせるようにもなります。

ここではリック2を例に変化をつけていきます。

1〜4小節目は弾き始める位置の変化。5、6、8小節目は3連符を使ってリズムの変化。7小節目は4分音符に変化をさせています。

リズムを自由に変化させられるようになったら、アプローチノートを加えてみましょう。

スケールを使ったアプローチノート

紹介しているリックは全てDロクリアンスケールを使っているので、Dロクリアンスケールの音をアプローチノートとして加えていきます。

Dロクリアンスケールの響き

リック2の2弦6フレットに向かってアプローチノートを加えると次のようになります。


1小節目はスケールの上昇、3小節目はスケールの下降です。

2弦6フレットに向かって挟み込むようにアプローチすることもできます。

1小節目は上昇、3小節目は下降です。

スケールはアドリブするためではなくアプローチノートとして使うためのものです。

ここではスケールの上昇、下降を紹介しましたが、音程差のあるアプローチを使っても構いません。

リックのはじまりの音へ向かうアプローチノートを自由に選んで弾いてみてください。

3拍目にターゲットノートを加えてみよう

加えたアプローチノートの前（3拍目）にターゲットノートを1音追加してみましょう。

ここでは上昇の挟み込みを使ったリックに、コードトーンをターゲットノートにして加えた例を紹介します。

オクターブ違いにすることもできます。

この中から好きな響きのするターゲットノートを選んでアプローチノートを加えていきます。

1小節目はスケールの上昇。3、5小節目はスケールの挟み込み、7小節目はスケールの下降です。

このようにリックの前に音を加え長いリックにアレンジすることができます。

リックの後ろにターゲットノートを加える

コードトーンをターゲットノートとしてリックの後ろに加えてみましょう。

次の小節の1拍目にDm7(b5)の各コードトーンを加える

各ターゲットノートに対しアプローチノートを加えた例が以下です。

スケールを使ったアプローチノートを追加

全てスケールの挟み込みを使ったアプローチです。

前後に音を加えられるようになったら、リズムに変化をつけてアドリブしてみましょう。

アレンジしたリック2を使ったアドリブ例

1つのリックだけでも、アプローチノートとリズムに変化を加えることでアドリブできるようになります。

カッコいいと思ったリックをコピーしたらアレンジして発展させてみてください。

ジャズリックを使ったDm7(b5)コード上でのアドリブ例

1小節目：リック1へ半音下からアプローチ。

2小節目：リック1をオクターブ上げ（オクターブディスプレイスメント）。

3〜4小節目：アレンジしたリック2。

5小節目：リック4とリズムアレンジ。

6〜7小節目：リック4のモチーフの発展。

8〜9小節目：リック3のオクターブディスプレイスメント。

10〜11小節目：リック3のモチーフの発展。

12〜13小節目：リック5へスケールの上昇でアプローチ。

14〜15小節目：リック5のモチーフをスケールにそって上昇。

16小節目：アレンジしたリック2のオクターブディスプレイメント。

 

ジャズリックを使ったアドリブでの注意点は、リックを組み合わせただけの演奏にならないようにすることです。

常に歌いながらアドリブすることで自然な演奏にすることができます。

そのためにもリックを覚えたらアレンジして、表現の幅を広げてみてください。

リズムを変えたらどうなるか、音を加えたらどうなるかなどを試していく過程で、アドリブの基礎が身についてきます。

• ジャズリックを覚える
• アレンジする
• アドリブに取り入れる

この3つを意識しながら、まずはたくさんのジャズリックを弾き、その中から本当に気に入ったものだけを厳選して覚えてみてください。

 

m7(b5)コードでのアドリブに慣れたら他のコードでのアドリブにも挑戦してみましょう。

 

fa-arrow-circle-downリックの分析と作り方が教則本になりました。
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