ジャズの名曲「Here’s That Rainy Day」。この曲は1953年にJimmy Van Heusenが作曲し、ブロードウェイミュージカルCarnival in Flandersで初めて披露されました。そのときのシンガーはDolores Gray。しかし、ミュージカルはわずか6日で終了してしまい、初演の音源は残されませんでした。
その6年後、1959年にFrank Sinatraによって再び輝きを取り戻します。ここではさまざまなアーティストのコード進行を年代順に追って、この曲の魅力に迫っていきます。
Frank Sinatra 1959年
Here’s That Rainy Dayがジャズスタンダードになったのは、シナトラの名演のおかげです。KeyはEメジャー。EからGに進むコード進行が特徴的です。
Peggy Lee 1961年
4和音コードを使っていますが、基本のコード進行はシナトラのバージョンと同じです。KeyはBbメジャー。
Stan Getz 1964年3月
Key=Fメジャーでテーマの始まりをFではなくFmにリハモしています。メロディを邪魔しなければどんなコードにでもリハモできるというお手本。また半音下降するベースラインが特徴的です。
Kenny Burrell 1964年4月
ギタリストで最初に録音したのがケニー・バレル。イントロはソロギターでKey=F。テーマからはKeyBbに転調します。原曲のコード進行を活かしつつII-Vのリハモが追加されいます。
Wes Montgomery 1965年5月
Here’s That Rainy Dayといえばウェス・モンゴメリーというくらい有名なライブ映像も残っていますが、ここではスタジオ録音バージョンを楽譜にしました。
Keyはシナトラと同じFメジャー。あのシンプルなコード進行をウェスがどうやってジャズらしくしているのか、その秘密がわかる貴重な音源です。
Paul Desmond 1965年6月
KeyはGメジャーですが、スタン・ゲッツと同じく最初のコードをマイナーに変えています。この録音はギターがジム・ホール。コード楽器がギターしかないので、コンピングも研究できるおすすめの音源です。
Duke Pearson 1968年12月
KeyはGメジャー。ヴォイスリーディングが美しいビックバンドでの演奏です。コード進行の原型はシナトラと同じですが、4和音とテンション、さらにII-Vのリハモをふんだんに使っているのが特徴です。
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