John Coltraneが1960年に録音したSatellite。How High The Moonのコード進行をもとにして作った曲で、日本ではパブリック・ドメインになっています。
この曲の特徴はコード楽器がいないこと。そこで今回は、コード楽器がいない曲をどうやってリードシートにしていくのか、そのプロセスを紹介していきます。
原曲を聴きながら読み進めてみてください。
Satelliteリードシート完成版
曲のサイズ
リードシート作りは、曲のサイズ採りから始めます。一曲を通して聴き、テーマとアドリブが何小節なのかを調べます。
メロディ
曲のサイズが掴めたら次のステップへ。それがメロディのコピーです。
音使いからコードが予想できる箇所は仮のコードネームを記譜しておきます。
後テーマ
通常なら次のステップはコード楽器のコピーですが、今回はコード楽器が居ません。そこでコルトレーンのアドリブをコピーし、その中からコードのヒントを見つけ出していきます。
アドリブのコピー
アドリブからコードネームを探るときの秘訣、それは各コーラスを縦に並べて見比べることです。この方法で、ほぼ全てのコードネームが明らかになります。
A1〜4小節目
分かりやすい箇所からコードネームを埋めて、全てのコードが埋まるまでアドリブをコピーしていきます。
各小節のコードが分かったので、次の小節にうつります。
A5〜8小節目
8小節目のフレーズはF7を想定することもできますが、1〜4小節目のコード進行を全音下げたものと想定してFm7にしています。
B1〜4小節目
B5〜8小節目
B’1〜4小節目
B’5〜8小節目
B’9〜12小節目
アドリブで分かったコードまとめ
アドリブ6コーラス分で分かったコードをまとめたのが下の譜例。
次にベースラインをコピーしてコードネームを完成させていきます。
ベースラインのコピー
ベースラインをコピーして、コルトレーンのアドリブから予想したコードと照らし合わせます。
[B’]の後半はベースはDのペダル。コルトレーンはスーパーインポーズさせていろいろなコードを想定していますが、リードシートではシンプルにG/D-Am/Dで記譜します。
エンディング
Dペダル上でコルトレーンがアドリブし、テーマのフェイクが合図になってエンディングに向かいます。どんなコードを想定してるかを探るためにアドリブをコピーしました。
ベースライン
終始Dのペダルですが、コルトレーンがGフリジアンのフレーズをするところでAbペダルに変わります。
これで全てのコードネームが判明しました。
曲のKeyは最初のコードと終わりのコードから判断します。SatelliteはGで始まりGで終わることから、Gメジャーが最適です。
これらの情報をまとめればリードシートの完成です。
アルバム「Coltrane’s Sound」
コルトレーンのの魅力が詰まったアルバム「Coltrane’s Sound」。
Central Park Westや26-2といった楽曲で繰り広げられるコルトレーンチェンジは、まさに聴く者を魅了します。
彼の革新的な音楽性を存分に堪能することができる名盤です。
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