枯葉はジャズ入門者が最初に取り組む曲として有名なスタンダードです。その理由は2つ。
- メジャーキー、マイナーキーの251(II-V-I)がでてくる
- ジャズアーティストの名演が多い
251はジャズスタンダードで必ずといっていいほど出てくるコード進行のこと。つまり枯葉のコード進行でアドリブできるようになれば、他のジャズスタンダードの251でもアドリブできるようになるのです。
ここではコード進行の分析、ジャズフレーズ・リックとコードトーンを使った練習法を紹介していきます。251を攻略してアドリブの基礎を身につけてみてください。
枯葉のコード進行
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枯葉はA-A-B-Cフォーム32小節の曲です。
コード進行分析の目的は各コードの機能を理解し、使えるスケールを見つけ出すことです。
分析していく順番はいくつかありますが、jazzguitarstyle.comでは以下4つの順番で紹介していきます。
- 曲のキーを調べる
- 各コードの機能を調べる
- 使えるスケールを見つけ出す
- アドリブで実際に使ってみる
枯葉のキー
キーは調号と終わりのコードを見ることで判断することができます。
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枯葉の調号はフラットが2つ付いているので、キーはBbメジャーかGマイナーになります。
曲の最後を見るとGm7で終わっているので、Gマイナーキーが最適です。
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Gマイナーキーから作られるコードをローマ数字(度数)で覚えておくと、コード進行を分析するときに役立ちます。
マイナーキーの場合ナチュラルマイナーとハーモニックマイナーの両方を覚えておきましょう。
Gナチュラルマイナースケールから作れるコード
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Gハーモニックマイナースケールから作れるコード
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II-V-Iを調べる
II-V-Iの場所を調べておくと分析に役立ちます。II-Vには下受け皿、V-Iには矢印を使います。
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[C]3〜4小節目G-7-Gb7-Fm7-E7はV7の代理コードなので、実線ではなく点線表記にしています。
29小節目のEbMa7はEb7にすることもあります。詳しくはQ and A 枯葉のラスト4小節のEbM7についてで紹介しています。
V7の代理コード
V7の特徴はトライトーン(全音3つ分=3全音)が含まれていることです。
C7の場合、3度とb7度(EとBb)の音程が3全音になります。
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もう一つの特徴は、同じトライトーン(3度とb7度)を持つV7は代理できることです。
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Gb7の3度とb7度はBbとFb(E)C7と同じ3度とb7度なので、C7はGb7に代理することができます。
このようにトライトーンを使った代理コードを裏コードと呼びます。
これを踏まえて[C]3〜4小節目のコード進行を代理コードに置き換えるとV-Iの連続になります。
![[C]3〜4小節目のコード進行V7-I楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/adlib/autumn-leaves/bar-27-28-v-i-analyze.png)
C7-Fm7-Bb7-はEbMa7に転調したと考えることもできます。
![[C]3〜4小節目のコード進行V7-I楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/adlib/autumn-leaves/bar-27-28-v-i-analyze-key-eb.png)
曲全体を機能別(ローマ数字=度数)に置き換えましょう。
コード進行分析
コード進行を度数表記で分析しておくと、別のキーで演奏するときにも役立ちます。
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最初の2小節はIVm7-bVII7と表記することもできますが、II-Vで表記するほうが瞬時に判断しやすいので、II-7/bIII、V7/bIIIと表記しています。[C}3、4小節目の裏コードにはSUB(サブスティテュート=代理の略)を加えています。
各コード使えるスケール
度数から使えるスケールを選んで行きます。
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スケールの選択肢は1つではないですが、まずは基本となるスケールを1つ選びその響きを覚えることが大切です。
度数別の使えるスケールは「コード進行から使えるスケールを見つけ出す3つの方法」のページで紹介しています。
ジャズリックを使った練習法
枯葉はGマイナーペンタトニックスケールだけでもアドリブすることができますが(詳しくは枯葉はGマイナーペンタトニックスケールのみで弾けますか?参照)、ジャズリックを使うことでジャズらしい響きを取り入れることができます。
まずはBbメジャーの251リックとGマイナーの251リックをそのまま使ってみましょう。
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リックの練習で響きを覚えたら、リックとリックの間の休符部分を自然につなげていきます。
おすすめは休符部分を鼻歌で歌ってつなげていく方法です。この方法はリックの響きが頭の中に入っていないと自然につなげられないので、しっかりと覚えられているかの確認にもなります。
鼻歌を録音してそれをギターで弾くのを繰り返すことで、リックの間を自然につなげられるようになっていきます。
リック同士の間をつなげる例1
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リック同士の間をつなげる例1
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リックの練習の効果は次の2つです。
- リックを弾くことでジャズらしい響きを覚えるイヤートレーニングになる
- リック同士をつなげることでアドリブの基礎が学べる
この2つを意識しながら取り組んでみてください。
リックを変化させる
覚えたリックをそのまま使うのではなく、自分なりにアレンジして使うことも良いイヤートレーニングになります。
リックのアレンジは次の3つの方法が簡単です。
- 休符を入れる
- 3連符を入れる
- 弾く拍を変える
Cm7のリックに対して上記3つを試してみましょう。
8分休符を入れる
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4分休符を入れる
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休符はどのタイミングでいれても構いません。カッコいいと思える箇所を探してみてください。
3連符を2拍目に使う
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3連符を3拍目に使う
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3連符もどこでも自由に入れることができます。
4拍目ウラから弾き始める
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3拍目ウラから弾き始める
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3拍目から弾き始める
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弾き始める拍の位置を変える手法をリズミックディスプレイスメントと呼びます。
リックを変化させることは表現の幅を広げることにもつながります。F7のリックの変化も試してみてください。
コードトーンを使った練習法
リックに頼らずアドリブするためには、コード進行の響きを把握しておくことが必要です。
そのために効果的なのがコードトーンを使った練習法です。
まずは各コードのルートから弾いて基本の響きを覚えましょう。
各コードのルートからコードトーンを弾く
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*最後の小節はG7にして次のCm7へ進みやすくしています。
ルートからの響きを覚えたら自由に選んで弾きましょう。
各コードのコードトーンをランダムに弾く
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最後に滑らかに次のコードへつなげる練習です。
一番近い次のコードのコードトーンへつなげる
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5thポジション(5フレットに人差し指を置いた時に弾ける範囲)で紹介しましたが、他のポジションでも同じように練習してみてください。
最終的にネック全体を1つのポジションとして見えるようにすることが目標です。
アドリブ例
Gマイナースケールを中心に、II-V-Iリック、コードトーンを使ったアドリブ例を音源にしたので参考にしてみてください。
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ギタリストのおすすめCD
枯葉を収録しているギタリストのおすすめアルバムです。それぞれのギタリストのアプローチの違いを聴き比べてみてください。
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