アドリブ

酒バラのコード進行分析とアドリブ例

Days of Wine and roses酒とバラの日々(通称:酒バラ)は「枯葉」や「All The Things You Are」と並んで、ジャズのアドリブ入門に最適な曲です。

とくに出だしのFMa7-Eb7や裏コードを使ったII-bII7-Iなどは、多くのジャズスタンダードで使われる王道のコード進行。そのため、酒バラでのアドリブができれば他のスタンダードにも応用ができます。

ここでは一般的によく知られているコード進行をもとに分析とアドリブ例を紹介します。

酒バラのコード進行

酒バラコード進行楽譜

酒バラはA-Bフォーム32小節の曲です。
コード進行分析の目的は各コードの機能を理解し、使えるスケールを見つけ出すことです。

分析していく順番はいくつかありますが、jazzguitarstyle.comでは以下4つの順番で紹介していきます。

  1. 曲のキーを調べる
  2. 各コードの機能を調べる
  3. 使えるスケールを見つけ出す
  4. アドリブで実際に使ってみる

酒バラのキー

キーは調号と終わりのコードを見ることで判断することができます。

酒バラのキー楽譜

酒バラの調号はフラットが1つ付いているので、キーはFメジャーかDマイナーになります。

曲の最後を見るとFMaj7で終わっているので、Fメジャーキーが最適です。

酒バラ最後の4小節楽譜

Fメジャーキーで使えるコードをローマ数字で覚えておくと、コード進行を分析するときに役立ちます。

Fメジャースケールから作られるコード

Fメジャーースケールから作られるコード楽譜

II-V-Iを調べる

II-V-Iの場所を調べておくと分析に役立ちます。II-Vには下受け皿、V-Iには矢印を使います。

酒バラのコード進行II-V-Iの場所楽譜

2小節目のEb7はD7へのV7=A7の裏コードなので、点線の矢印でD7へ向かっています。8小節目も同様です。

28小節目のBb7はAm7へ向かうV7=E7の裏コードです。

これらを踏まえて曲全体を機能別(ローマ数字)に置き換えましょう。

コード進行分析

コード進行をローマ数字表記で分析しておくと、別のキーで演奏するときにも役立ちます。

酒バラのコード進行分析ローマ数字楽譜

SUBは裏コードの略です。

各コード使えるスケール

度数から使えるスケールを選びます。

酒バラの各コードで使えるスケール楽譜

スケールの選択肢は1つではないですが、まずは基本となるスケールを1つ選びその響きを覚えることが大切です。

度数別の使えるスケールは「コード進行から使えるスケールを見つけ出す3つの方法」のページで紹介しています。

アドリブ例

コード進行分析から選んだスケールを中心に、II-V-Iリック、コードトーンを使ったアドリブ例を楽譜にしたので参考にしてみてください。

酒バラアドリブ例楽譜ページ1
酒バラアドリブ例楽譜ページ2
酒バラアドリブ例楽譜ページ3
酒バラアドリブ例楽譜ページ4
酒バラアドリブ例楽譜ページ5

ギタリストのおすすめCD

酒バラを取り上げているジャズギタリストの中からおすすめのアルバムを紹介します。

ウェス・モンゴメリー

バラードアレンジでのコードメロディーとシンプルなアドリブフレーズが学べます。

『Boss Guitar』

発売日:1963年
Wes Montgomery– guitar
Melvin Rhyne – organ
Jimmy Cobb – drums

パット・マルティーノ

ミディアムテンポでのマルティーノ流16分フレージングが学べます。

『Exit』

発売日:1976年
Pat Martino – guitar
Gil Goldstein – piano
Richard Davis – bass
Jabali Billy Hart – drums

ジョー・パス

ボサノヴァスタイルでのジョーパス流コードメロディと単音ラインが学べます。

『Catch Me +5』

発売日:1963年
Joe Pass – guitar
Clare Fischer – organ
Albert Stinson – double bass
Colin Bailey – drums

ビレリ・ラグレーン

Csus4のイントロからブルージーな雰囲気全開の演奏です。

『Live in Marciac』

発売日:1994年
Bireli Lagrene – guitar
Chris Minh Doky – double bass
André Ceccarelli – drums

ビル・フリゼール

エフェクトを多用したコンテンポラリーな酒バラ。

『Is That You?』

発売日:1990年
Bill Frisell: guitars
Wayne Horvitz: keyboards
Joey Baron: drums
Dave Hofstra: tuba on 4, 8, bass on 7

ベース、ドラムとのトリオでの酒バラ。

『East/West』

発売日:2005年
Bill Frisell – guitar
Tony Scherr – double bass
Kenny Wollesen – drums

この記事へのコメント

  1. jazz-gg より:

    こんにちは ジョーイさん。
    このサイトでいろいろ勉強させて頂いています。

    酒バラのアップありがとうございます。
    このテンポで弾く単音のテーマメロディが
    大変難しくて悩んでいます。

    お忙しい中 申し訳ありませんが
    もし可能であれば初心者向けのテーマの
    参考音源のアップをよろしくお願いします。

  2. jazz-gg より:

    ジョーイさん
    テーマ音源のご紹介ありがとうございます。
    お手数をお掛けしました。
    参考にさせて頂き練習してみます。

  3. 橋本 より:

    質問失礼いたします。こちらの曲の下から2段目のBΦのところですが、
    使えるスケールが普通のロクリアンではなく、ロクリアン♮2となっているのはなぜなのでしょうか?
    リンクのスケールの選び方を見るとロクリアン♮2はマイナーキーのⅥの時に
    使えるとありますが、この曲の場合はどのように分析するのでしょうか?

    よろしくお願いいたします。

  4. 橋本 より:

    すみません。分かったかもしれません。
    キーFの平行調Dmから見たときのⅥΦということでしょうか?
    それでも分からないのは、なぜ♮2なのでしょうか?
    キーにインサイドな音は通常のロクリアンのm2の方だと思うのですが。。。
    キーFのP5とキーDmのm7にあたるので。メロディックマイナーを想定しているということでしょうか?
    ここで使えるスケールでインサイドな順番の上げていくとどのようになるのでしょうか?
    ➀ロクリアン➁ロクリアン♮2。。。
    という感じでしょうか?
    よろしくお願いいたします。

    • jazzguitarstyle.com より:

      説明不足すみません。
      理論的な解釈があるわけではなく、単純にロクリアン♮2の響きが好きなので使っています。

  5. さと より:

    初めまして!
    全くの初心者です。ご教示くださっている文章を丁寧に読ませていただき、鍵盤でなぞって進行を感じてみました。
    分からない単語も多いのですが事実から謎が解けたりして、とても楽しく拝見しています。有難うございます。

    • jazzguitarstyle.com より:

      さとさん、初めまして。
      記事参考になったみたいで良かったです。ぜひぜひジャズの世界満喫してください。

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