ジャズコード

ギタリストに必須!ドロップヴォイシングの作り方

ドロップヴォイシングは、クローズヴォイシング(1オクターブ内のヴォイシング)の音を1オクターブ下げてできるオープンヴォイシング(1オクターブ以上のヴォイシング)のことです。

ギターは楽器の構造上、1オクターブ内でヴォイシングすることが難しいので、ドロップヴォイシングが多用されます。

普段なにげなく弾いているコードも、実はドロップヴォイシングになっていることがほとんど。ドロップヴォイシングの仕組みがわかると自分で作り出せるようにもなります。

ぜひ仕組みを覚えて自分だけのヴォイシングを作ってみてください。

弾けないコードがある?

CMa7のクローズヴォイシングを弾いてみましょう。

CMa7五線譜
CMa7クローズヴォイシング5弦ルートコードダイアグラム CMa7クローズヴォイシング6弦ルートコードダイアグラム CMa7クローズヴォイシング4弦ルートコードダイアグラム

2つめはストレッチしますが、これならまだギターでも弾くことができます。

次は転回形です。

CMa7のクローズヴォイシング第1転回形

CMa7第一転回形五線譜
CMa7第一転回形TAB譜

CMa7のクローズヴォイシング第2転回形

CMa7第2転回形五線譜
CMa7第2転回形TAB譜

CMa7のクローズヴォイシング第3転回形

CMa7第3転回形五線譜
CMa7第3転回形TAB譜

これらの転回形は押さえるのが不可能になってしまいます。

別のコードを見てみましょう。

C6のクローズヴォイシング

C6五線譜
C6クローズボイシング6弦ルートコードダイアグラム C6クローズボイシング4弦ルートコードダイアグラム C6クローズボイシング5弦ルートコードダイアグラム

基本形を押さえるのが不可能になっています。

このような弾けないフォームを解消するために、ギターではオープンヴォイシングが使われます。

オープンヴォイシングはドロップ2、ドロップ3の2種類がメイン。その他にドロップ2+4、ドロップ2+3があります。ここからはそれぞれの作り方を見ていきましょう。

転回形の名称
  • ルートが最低音=基本形(またはルートポジション)
  • 3度が最低音=第1転回形(ファースト・インバージョン)
  • 5度が最低音=第2転回形(セカンド・インバージョン)
  • 7度が最低音=第3転回形(サード・インバージョン)

ヴォイシングの基礎知識も合わせて参考にしてください。

ドロップ2ヴォイシングの作り方

ドロップ2ヴォイシングは、クローズヴォイシングの上から2番目の音をオクターブ下げて出来るヴォイシングです。

CMa7のドロップ2ヴォイシング

CMa7のドロップ2

CMa7の基本形の上から2つめ(G音)を1オクターブ下げてできるのがドロップ2ヴォイシングです。転回形のドロップ2も見てみましょう。

CMa7ドロップ2 第一転回形
CMa7ドロップ2 第2転回形
CMa7ドロップ2 第3転回形

ギターでは3~6弦、2~5弦、1~4弦を使ったコードフォームで弾くことができます。

CMa7ドロップ2ヴォイシング3~6弦

CMa7ドロップ2第2転回形3~6弦ダイアグラム CMa7ドロップ2第3転回形3~6弦ダイアグラム CMa7ドロップ2ルートポジション3~6弦ダイアグラム CMa7ドロップ2第1転回形3~6弦ダイアグラム

CMa7ドロップ2ヴォイシング2~5弦

CMa7ドロップ2第2転回形2~5弦ダイアグラム CMa7ドロップ2第3転回形2~5弦ダイアグラム CMa7ドロップ2ルートポジション2~5弦ダイアグラム CMa7ドロップ2第1転回形2~5弦ダイアグラム

CMa7コードドロップ2ヴォイシング1~4弦

CMa7ドロップ2第2転回形1~4弦ダイアグラム CMa7ドロップ2第3転回形1~4弦ダイアグラム CMa7ドロップ2ルートポジション1~4弦ダイアグラム CMa7ドロップ2第1転回形1~4弦ダイアグラム

クローズヴォイシングと比べると弾きやすく実用的になっているのが特徴です。

各弦の主な使用方法
  • 3〜6弦=デュオでのコンピング
  • 2〜4弦=コンピング
  • 1〜4弦=コードソロ、コンピング

ドロップ3ヴォイシングの作り方

ドロップ3ヴォイシングはクローズヴォイシングの上から3番目の音をオクターブ下げて出来るヴォイシングです。

CMa7のドロップ3ヴォイシング

CMa7ドロップ3五線譜

CMa7の基本形の上から3番目(この場合はE音)を1オクターブ下げてできるのがドロップ3ヴォイシングです。転回形のドロップ3も見てみましょう。

CMa7ドロップ3 第一転回形
CMa7ドロップ3 第2転回形
CMa7ドロップ3 第3転回形

ギターでは2~6弦、1~5弦を使ったコードフォームで弾くことができます。

CMa7ドロップ3ヴォイシング2~6弦

CMa7ドロップ3第1転回形2~6弦ダイアグラム CMa7ドロップ3第2転回形2~6弦ダイアグラム CMa7ドロップ3第3転回形2~6弦ダイアグラム CMa7ドロップ3ルートポジション2~6弦ダイアグラム

CMa7ドロップ3ヴォイシング1~5弦

CMa7ドロップ3第1転回形1~5弦ダイアグラム CMa7ドロップ3第2転回形1~5弦ダイアグラム CMa7ドロップ3第3転回形1~5弦ダイアグラム CMa7ドロップ3ルートポジション1~5弦ダイアグラム

コードソロで使うことはありませんが、コンピングで多用されます。

ドロップ2+4ヴォイシングの作り方

ドロップ2、ドロップ3よりも広い音域になるのがドロップ2+4ヴォイシングです。クローズヴォイシングの上から2番目と4番目の音をオクターブ下げて作ります。

CMa7のドロップ2+4ヴォイシング

CMa7ドロップ2、4五線譜

CMa7の基本形の上から2番目と4番目(この場合はG音とC音)をオクターブ下げて出来るのがドロップ2+4ヴォイシングです。転回形も見てみましょう。

CMa7ドロップ2。4 第一転回形
CMa7ドロップ2。4 第2転回形
CMa7ドロップ2。4 第3転回形

ギターでは2~6弦、1~5弦を使ったコードフォームで弾くことができます。

CMa7ドロップ2+4ヴォイシング2~6弦

CMa7ドロップ2+4ルートポジション2~6弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+4第1転回形2~6弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+4第2転回形2~6弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+4第3転回形2~6弦ダイアグラム

CMa7ドロップ2+4ヴォイシング1~5弦

CMa7ドロップ2+4ルートポジション1~5弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+4第1転回形1~5弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+4第2転回形1~5弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+4第3転回形1~5弦ダイアグラム

低音域と高音域の間の弦を弾かないフォームなので、コンピングやコードソロには向きませんが、 独特の響きを演出できるのでソロギターに最適です。

ドロップ2+3ヴォイシングの作り方

ドロップ2+4同様、音域の広いドロップ2+3ヴォイシングも作ってみましょう。ドロップ2+3ヴォイシングは、クローズヴォイシングの上から2番目と3番目の音をオクターブ下げて作ります。

CMa7のドロップ2+3ヴォイシング

CMa7ドロップ2、3五線譜

CMa7の基本形の上から2番目と3番目(この場合はG音とE音)をオクターブ下げて出来たのがドロップ2+3ヴォイシングです。転回形も見てみましょう。

CMa7ドロップ2。3第一転回形
CMa7ドロップ2。3第2転回形
CMa7ドロップ2。3第3転回形

ギターでは2~6弦、1~5弦を使って弾くことができます。

CMa7ドロップ2+3ヴォイシング2~6弦

CMa7ドロップ2+3ルートポジション2~6弦ダイアグラム CMa7ドロップ2+3第1転回形2~6弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+3第2転回形2~6弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+3第3転回形2~6弦ダイアグラム

4つ目のフォームは6弦から小指、人差し指、薬指、2弦は中指の爪で押さえています。

CMa7ドロップ2+3ヴォイシング1~5弦

CMa7ドロップ2+3ルートポジション1~5弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+3第1転回形1~5弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+3第2転回形1~5弦ダイアグラム  CMa7ドロップ2+3第3転回形1~5弦ダイアグラム

コンピングには向きませんが、ソロギターに活用できます。

テンションの入ったドロップヴォイシング

テンションの入った5和音以上のヴォイシングは、音を省略して弾きます。試しに音を省略せずCMa9を弾いてみましょう。

CMa9クローズヴォイシング基本形

CMa9五線譜
CMa9ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第1転回形

CMa9第一転回形五線譜
CMa9第一転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第2転回形

CMa9第2転回形五線譜
CMa9第2転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第3転回形

CMa9第3転回形五線譜
CMa9第3転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第4転回形

CMa9第4転回形五線譜
CMa9第4転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第5転回形

CMa9第5転回形五線譜
CMa9第5転回形ダイアグラム

CMa9のクローズヴォイシングは開放弦を使ったギターらしい響きになりますが、コンピングやコードソロでは実用的ではありません。

ドロップヴォイシングにした場合も見てみましょう。

CMa9のドロップ2

CMa9クローズヴォイシング基本形ドロップ2

CMa9ドロップ2五線譜
CMa9ドロップ2ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第1転回形ドロップ2

CMa9ドロップ2第一転回形五線譜
CMa9ドロップ2第一転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第2転回形ドロップ2

CMa9ドロップ2第2転回形五線譜
CMa9ドロップ2第2転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第3転回形ドロップ2

CMa9ドロップ2第3転回形五線譜
CMa9ドロップ2第3転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第4転回形ドロップ2

CMa9ドロップ2第4転回形五線譜
CMa9ドロップ2第4転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第5転回形ドロップ2

CMa9ドロップ2第5転回形五線譜
CMa9ドロップ2第5転回形ダイアグラム

CMa9のドロップ3

CMa9クローズヴォイシング基本形ドロップ3

CMa9ドロップ3五線譜
CMa9ドロップ3ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第1転回形ドロップ3

CMa9ドロップ3第1転回形五線譜
CMa9ドロップ3第1転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第2転回形ドロップ3

CMa9ドロップ3第2転回形五線譜
CMa9ドロップ3第2転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第3転回形ドロップ3

CMa9ドロップ3第3転回形五線譜
CMa9ドロップ3第3転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第4転回形ドロップ3

CMa9ドロップ3第4転回形五線譜
CMa9ドロップ3第4転回形ダイアグラム

CMa9クローズヴォイシング第5転回形ドロップ3

CMa9ドロップ3第5転回形五線譜
CMa9ドロップ3第5転回形ダイアグムラウ

開放弦を使ったフォームやストレッチフォームが多くなるためコンピング向きではありません。そのためテンションを含んだコードを弾く場合、音を省略したヴォイシングを使います。

音を省略する方法

省略できる音はルートと5度の2つです。

ルートはベースが担当してくれているので、まっさきに省略できます。

5度は3度や7度に比べてコードの響きに影響しません(ただしb5や#5が入っているコードの場合は省略できません)。

CMa9を例に音を省略してみましょう。

ルートを省略したCMa9のヴォイシング

ルートを9thに変えたドロップ2を紹介します。

5弦のRを9に変更したダイアグラム
3弦のRを9に変更したダイアグラム
4弦のRを9に変更したダイアグラム
2弦のRを9に変更したダイアグラム

5度を省略したCMa9のヴォイシング

5度を省略したCM9楽譜
CMa9から5度を省略したダイアグラム CMa9から5度を省略したダイアグラム第1転回形 CMa9から5度を省略したダイアグラム第2転回形 CMa9から5度を省略したダイアグラム第3転回形

CMa13の場合

CMa13のようにテンションが2つ(9thと13th)の場合は、ルートと5度をそれぞれをテンションに置き換えます。

CMa7のドロップ2をCM13に置き換え

5弦のRを9、4弦の5を13に変えたダイアグラム
3弦のRを9、2弦の5を13に変えたダイアグラム
4弦のRを9、5弦の5を13に変えたダイアグラム
2弦のRを9、3弦の5を13に変えたダイアグラム

テンションを含んだヴォイシングを作るときは3つの方法があります。

  1. ドロップヴォイシングのルートと置き換える
  2. クローズヴォイシングの5度と置き換える
  3. ルートと5度の両方と置き換える

ぜひ自分だけのヴォイシングを作って演奏に取り入れてみてください。

ドロップ2、3ヴォイシングまとめ

メジャー、マイナー、ドミナント、ディミニッシュで使うドロップ2、3は以下のページにまとめています。

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