Jesse Van Rullerのアルバム『Trio』9曲目に収録されているWithout a Song。作曲はヴィンセント・ユーマンス、A-A-B-Aフォームのジャズスタンダードです。
通常アドリブはテーマと同じフォームを使いますが、ここでは2コラース目のみA-B-Aの変則フォームが使われています。
ベース、ドラムとのトリオ編成なので、メロディの歌わせ方やアドリブの組み立て方、エンディングのアレンジ法の研究に打ってつけです。
前テーマメロディ
イントロはなくテーマから始まります。
Jesse Van Rullerアドリブ
58秒からはじまるジェシ・ヴァン・ルーラーのアドリブ。2コーラス目がA-B-Aの変則フォームになっています。
1コーラス目
2コーラス目
3コーラス目
ドラムとの8バース
3分41秒からはじまるドラムソロとの8小節の掛け合いです。
後テーマメロディ
4:37秒からの後テーマ。前テーマと同じくA-A-B-Aフォームです。
エンディング
エンディングはEb-Cbのコード進行を元に、ベースがEb-Dbと動く箇所があります。
編集後記
今回採譜して気づいたのは、アドリブセクションの2コーラス目がA-B-Aになっていること。そしてそこでのベースラインがかなり斬新なことです。2コーラス目のH、Iのベースラインとベースが想定したであろうコードネームも採譜してみました。
H、Iのベースラインとコードネーム
Hはまだリハモとして捉えることができますが、Iは完全にBメロ部分のコード進行です。ジェシのフレージングはEb-Eb7-Ab-Db7。この2つが混ざることで独特なハーモニーが生まれています。
演奏者がそれぞれ別のコード進行を想定して演奏するのはビバップ時代からの常套手段。ジャズらしさの秘訣はこのポリハーモニーにあるのだと思います。
アドリブセクションのコード進行と分析
Aセクション9小節目からのGm7-Gbm7-Fm7の半音進行が特徴です。
アルバム「Trio」
Without A Song以外にもEverything Happens To Me、Con Alma(5拍子アレンジ)、My One And Only Loveなどのスタンダードが収録されています。オリジナル(1、4、5、6)もカッコよくギタリスト好みの曲が満載です。
1. Higher-Higher-Her
2. Everything Happens To Me
3. Sno Peas
4. Take The Cake
5. Have A Heart
6. Trick Of The Light
7. Blame It On My Youth
8. Con Alma
9. Without A Song
10. My One And Only Love
11. Way Out
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