David Oakesのサイトで公開されているContrapuntal Conceptsでは対位法(2つ以上のメロディを同時に鳴らす手法)を使ったJimmy Wayble流の基礎練習フレーズが学べます。
- 対位法に興味がある
- 対位法をギターで弾きたい
- Jimmy Waybleのエチュードを弾きたい
と思ったらぜひ取り組んでみてください。ギターの新たな可能性を感じることができるはずです。
*以下は原著Contrapuntal Concepts.pdfをDavid Oakesから使用許諾を受け翻訳編集しています。
GITのカリキュラムだった
Contrapuntal Conceptsは2008年2月20日にJimmyが渡してくれたものです。
出版されることはありませんでしたが、70年代後半にGIT(現Musicians Institute)のカリキュラムとして使われていました。
ここで紹介する練習フレーズはJimmy Waybleのエチュード集「The Art Of Two Line Improvisation」が出版される前に書かれたものです。
Jimmyのエチュードを弾くために必要な練習も数多くあるので、ここで紹介しているフレーズをマスターすれば、エチュードを弾く手助けになるはずです。
David Oakes
ギターは無限の可能性を持っている
ギターの可能性は驚異的です!これほど多様なスタイルを演奏できる楽器は他にありません。
ギタリストとして成長するためには
- テクニックの鍛錬
- ハーモニーの探求
- 読譜力
が必要です。
さらに、
- 他のギタリストの作品研究
- 新しい演奏方法の模索
- 新しいアイデアの試み
など、時代の変化に合わせて新しい音を追求する必要があります。
音楽が変化すればするほど、ギタリストのテクニックや表現力、ハーモニー感覚や演奏スタイルが進化していきます。
一般的にアドリブは単音(1声)で弾くことがほとんどですが、私のエチュードでは2声目を追加しています。
これから紹介する練習フレーズはディミニッシュスケールを使ったもや、ギターの基本コードフォームを使った対位法などさまざまです。フィンガーピッキングの上達にも効果があります。
楽譜表記について
原著ではクラシックギター用の一般的な記譜になっていますが、今回翻訳するにあたりタブ譜付きの記譜に変えています。
押弦の指(タブ譜の下に記譜)
- 人・・・人差し指
- 中・・・中指
- 薬・・・薬指
- 小・・・小指
ピッキングの指(五線譜の下に記譜)
- p ・・・親指
- i ・・・人差し指
- m・・・中指
- a ・・・薬指
ディミニッシュを使ったフレーズ
フレーズ1〜4はディミニッシュスケールを使ったものです。
Cコンビネーションオブディミニッシュスケール(コンディミ)
Cディミニッシュスケール
フレーズ1
上声はコンディミの下降。下声は半音下からのアプローチ後に短3度下降しています。
ピッキングは親指と人差し指を交互に弾くオルタネイトです。はじめは違和感があるかもしれませんが、慣れてくると楽に弾けるようになります。
フレーズ2
上声がディミニッシュスケールの下降になっています。
フレーズ3
上声がディミニッシュスケールの上昇になっています。
フレーズ4
上声はディミニッシュスケールの上昇。下声はディミニッシュコードのアルペジオです。
逆行したパターン
音程差のあるフレーズ
対位法でよく使われる音程差のあるフレーズを紹介します。
フレーズ5
薬指を押さえたまま、他の指を大きく移動させる練習です。
フレーズ6
特定の指を押さえたままにせず、ネック上を大きく移動する練習です。
フレーズ7
半音アプローチで1弦12フレットEまで進み、1弦11フレットのD#から全音で下降します。
フレーズ8
フレーズ7の3拍目からオクターブ低く弾いたフレーズ。オクターブ変えて弾く手法をオクターブディスプレイスメントと呼びます。ピッキングする指はフレーズ7と同じです。
コンディミを使ったフレーズ
V-Iで使えるコンディミフレーズです。9〜12はDコンディミを使っています。
フレーズ9
フレーズ10
b5thとb9thがどこにあるか確認しながら弾いてみてください。
フレーズ11
上声のコードトーンとスケールの関係を分析してみてください。左右の指使いと対位法をしっかりと意識しながら弾くのがポイントです。
フレーズ12
Dハーモニックマイナースケールを使ったV-Iフレーズです。
フレーズ13
フレーズ11のバリエーションです。上声はディミニッシュスケールの上昇。下声はディミニッシュコードのアルペジオです。
フレーズ14
フレーズ11、13のバリエーションです。
フレーズのもとになったコードダイアグラム
4和音から2音ずつ弾くフレーズ
これから紹介していくフレーズは4和音のコードフォームから2音ずつ選んで弾くものです。Jimmyが毎日のように練習していたもので、MIでも必ず生徒に教えていました。
ここで注意する点はひとつ。それはセーハをしないことです。とくにBm7コードはセーハしたくなりますが、各指で押さえてください。
David Oakes
元になるコードフォーム
フレーズ15a
フレーズ15b
フレーズ16
フレーズ17
コードフォームから作る対位法
上声、下声ともにコードフォームから作ったフレーズを紹介します。
フレーズ18
元にしたコードフォーム
E7(b5,b9)は6弦6フレットと5弦5フレットを人差し指でセーハするGeorge Van Epsのフォームを使っています。
フレーズ19
元にしたコードフォーム
コードフォームを使った基礎練習
Cキーのダイアトニックコードを元にした基礎練習フレーズを紹介します。
フレーズ20
5th-ルート-3rd-7thの順に積んだボイシング(ドロップ2第2転回形)。低音は5th・ルート・3rd。高音の7thはスケールに沿って下降します。
フレーズ21
ルート-5th-7th-3rdの順に積んだボイシング(ドロップ2基本形)。ルートがスケールに沿って上昇します。
フレーズ22
ルート-7th-3rd-5thの順に積んだボイシング(ドロップ3基本形)。ルートはスケールに沿って上昇、5thは下降します。
対位法の基礎練習
対位法を使ったアドリブに必要な、ボイシングの流れを意識することに焦点を当てた練習フレーズです。
コードを固まりではなく各音の独立した声部ととらえ、その響きを覚えていきます。Jimmyはこれを徹底的に教えていました。
Jimmyの演奏ではめったにお目にかかれないセーハするコードフォームがでてきます。
David Oakes
フレーズ23
ルート-7th-9th-11thの順に積み上げたコードです。11thは半音上昇、7thは半音下降します。
フレーズ24
ルート-3rd-7th-9thの順に積み上げたボイシングです。7thは半音下降、3rdは半音上昇します。
この記事へのコメント
Jimmy Waybleさん、初めて知りました。JAZZ Guitar文化の深淵さを伺える人物です。調べたらAmazonでもエチュードが購入できるので購入したいと思います。素晴らしいJAZZ Guitarサイトを、運営していただいて感謝しています。これからも頑張って下さい。
私もつい数ヶ月前に知りました。Jimmy Waybleさんはすばらしい演奏家でもあり教育者ですよね。
エチュードぜひ満喫してください。
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