David Oakesのサイトで公開されているJimmy Wybleの5つのリック(Five Ideas from Jimmy Wyble)。ここでは楽譜のタブ譜化とDavidの練習方法を紹介します。
どのリックもソロギターに取り入れやすいものになっているので、気に入ったものがあったらぜひ活用してみてください。
*David Oakesから使用許諾を受け翻訳編集しています(音源は全てDavid Oakesの演奏です)
はじめに
ここではJimmy Wybleのエチュードから厳選したリック(アイデア)を使って、それらをどのように自分の演奏に取り入れていくかを紹介します。
リックの学び方は、
- 2拍または1小節程度の短いものにする
- ネック上のどこでも弾けるようにする
- 自分の演奏に応用する
の3つです。
良いリックとはメロディアスでもありハーモニーとしても音楽的なものを指します(Jimmy Wybleのエチュードは全小節が当てはまります)。そして、コードメロディやアドリブに簡単に取り入れられるものでなければなりません。
Jimmyのリックはどれもがその2つを兼ね備えています。
私がJimmyのリックを弾くと、聴いているギタリストは必ず「今、一体どうやって弾いたの?」と反応します。それだけ魅力的なのです。
これから紹介する5つのリックは私のお気に入りです。ぜひ練習してあなた自身の演奏に活かしてください。
リック1
ドミナントの3度と7度を使ったリックです。トニックの3度に解決します。ネック上のどこでも簡単に弾けるのが特徴です。
A Felicidadeのコード進行に応用した例
ボサノヴァのフィールで弾いてみてください。
II-V-I-IVのコード進行で使った例
枯葉のアドリブにも活用できます。スウィングで弾いてみてください。
リック2
メジャーコードで使えるリックです。私が最初に学んだリックでもあり、応用しやすいのが特徴です。
Mistyのコード進行に応用した例
Mistyの[A]セクション2ndエンディングで使った例です。3小節目の1拍3連フレーズはTed Greeneのアイデアです。彼はバックサイクル(目的のコードの前にII-Vやドミナントコードの連続を入れる手法)が好きでした。
Green Dolphin Streetのコード進行で使った例
リック2をボサノバで弾いた例です。3、4拍目はメロディになっています。
リック3
ドミナント9(#5)のリックです。コード(6、4、2弦)は全音ずつの下降、メロディ(1弦)は半音ずつの下降です。
All The Things You Areの[B]で使った例
私のアレンジでは2、6小節目で別のリックも使っています。カウンターポイントがピアニストの雰囲気をだしているのに注目してみてください。
Prelude To A Kissのコード進行で使った例
ここではコードもメロディも半音で下降しています。オーグメントコードを半音で動かすと、上下どちらもIII(I)-VI-II-Vの代理コード進行として使えます。
オリジナルのコード進行と比べるとバックサイクルを使ったリハモなのが分かります。
Prelude To A Kissのコード進行
【補足】9(#5)がIII(I)-VI-II-Vのリハモもに使えるわけ
III(I)-VI-II-Vのリハモを検証してみました。
キーCのIII-VI-II-V
Em7はCMa9/Eと捉えることができるので、IIIm7=IMa7になります。
全てをドミナント化
裏コードを使って半音進行に
テンションを加える
ドミナント9(#5)を半音下降するとII-VI-II-Vのリハモになることが検証できました。
ドミナント9(#5)はホールトーンスケールからできるコードなので、全音関係のルート音にリハモできます。
Gホールトーンスケール
Gホールトーンスケールからできる5和音
Abホールトーンスケール
Abホールトーンスケールからできる5和音
このように、ホールトーンスケールからできる5和音のコードは全て9(#5)コードになるため、各コードそれぞれ代理コードとして使えます。
半音下降のコード進行で出てきたA、Ab、Gをそれぞれ全音関係にあるルートに代理します。
ホールトーンスケールで代理
A9(#5)をB9(#5)に、Ab9(#5)をC9(#5)にG9(#5)をDb9(#5)にそれぞれリハモしています。
これでドミナント9(#5)を半音上昇するとII-VI-II-Vのリハモになることも検証できました。
リック4
Jimmyのエチュードでたびたび出てくる、V-Iで使えるドミナントリックです。私もお気に入りで他のどのリックよりもよく使っています。
Black Orpheusのコード進行で使った例
上声と下声(6弦6フレットのBb音)がそれぞれ逆方向に動いて、Am7のルートとb3rdへ解決する、美してくメロディアスなボイスリーディングです。
Girl From Ipanemaのコード進行で使った例
これを聴けばリック4がどれだけ使いやすいかが分かると思います。とても魅力的なリックです。
リック5
マイナーII-Vで使えるリックです。1拍目のベース音が構成音以外からはじまります。ギターの基本コードフォームを使ってピアノのようなアプローチにしているのが特徴です。私がアドリブで使うときは4拍目をその曲に合わせてアレンジしています。
Alone Togetherのコード進行で使った例
ソロギターのアドリブで使った例です。
It Had To Be Youのコード進行で使った例
同じリックを別の曲で使った例です。
ここで紹介したリック1、リック2はJimmy Wybleのエチュード7〜25が掲載されているThe Art of Two Line Improvisationでも出てきます。
ここでのリックが気になったら曲集もぜひチェックしてみてください。
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