マイナーキーのII-V-Iはマイナーペンタトニックスケールだけでもカッコよく弾けるので、ギタリストには親しみやすいコード進行です。
ただジャズらしく弾くには、各コードを意識することと、ジャズらしいフレージングを覚えることが必要です。
ここではIIm7(b5)-V7-Im7をそれぞれ明確に意識した練習方法を紹介します。
ここでの練習法を覚えれば、マイナーキーのII-V-Iでジャズらしいアドリブができるようになります。ぜひじっくりと取り組んでみてください。
コード進行の響きとバッキング例
BPM=110
BPM=180
コード進行でアドリブするための最初のステップはコード進行の響きを覚えることです。そのためにもまずはコードフォームを覚えていきましょう。
ジャズでよく使われるコードフォーム
コードフォームはさまざまありますが、コードを特徴づける必要最小限の音を使ったフォームを覚えて、そこから音を加えていくのが効率的です。5弦ルート、6弦ルートそれぞれを見ていきましょう。
必要最小限のコードフォーム
メトロノームに合わせて最小限のコードフォームを使うだけでも十分練習用バッキングになります。自分で作ることでリズム感を鍛える練習にもなるのでぜひ作ってみてください。
テンションを加えたコードフォーム
G7、Cm7はそれぞれテンションを加えることができます。Dm7(b5)はすでに4音なのでそのまま使います。
テンションを含んだコードフォームでバッキングした例
より実践的に練習したいときはジェイミー・エーバーソールドのプレイアロングシリーズ「Vol. 3, The II/V7/I Progression」がおすすめです。
マイナーII-V-Iで使えるスケール
各コードで使える主なスケールは以下の通りです。
コード | 使えるスケール |
Dm7(b5) | Dロクリアン、Dロクリアン♮2 |
G7 | Gオルタード、Gミクソリディアンb9、b13 |
Cm7 | Cマイナー、Cメロディックマイナー |
使えるスケールが分かってもジャズらしくなりません。
その原因は2つです。
- コード進行を意識していない
- ジャズらしい音使いを知らない
この原因を解消するために、まずはコード進行を意識する練習からはじめていきましょう。
コードトーンを弾いて響きを覚える
コード進行を意識するには、各コードの構成音=コードトーンを弾くのが最適です。
4和音のコードトーンはルート(1度)、3度、5度、7度です。Cm7の場合はルートのC、b3度のEb、5度のG、b7度のBbになります。
Cm7のコードトーン
コードトーンを弾く練習はコード進行の響きを覚えるのに役立ち、コードに対してのインサイドの響きも覚えるので、自分の出している音が合っているのか外れているのかを聴き分けることができるようになります。
いきなりネック上全てのコードトーンを覚えようとすると大変なので、ここでは2ndポジション(2フレットに人差し指を置いて弾ける範囲)で弾けるコードトーンに絞って紹介します。
ネック上でコードトーンの位置がある程度見えてくるまで弾いてみてください。
慣れてきたらバッキングに合わせて弾いていきます。
コードトーンを使った練習法
コードトーンを使った練習には3つの段階があります。
- コードトーンを覚える
- コードトーンをスムーズにつなげる
- リズムを加えてアドリブする
まずはコードトーンを覚える練習から始めましょう。
各コードのルートからコードトーンを弾く
ルートからの上昇
ルートからの下降
この練習ははじめてコードトーンを弾くときに最適です。8分音符が難しければ4分音符にしても構いません。
コードトーンの配置とコード進行の響きを覚えることが目的なので、練習中は必ずバッキングに合わせて弾いて、耳に響きを覚えこませてください。
慣れてきたらコードトーン同士をつなげていきます。
コードトーンをスムーズにつなげる練習
次のコードに移るときに一番近いコードトーンを弾いていく練習です。
この練習で各コードの横の流れを意識できるようになります。スムーズに繋がるコードトーンの響きを覚えるまで何小節でも続けてみてください。
リズムを取り入れたアドリブ
コードトーンの配置を覚えてスムーズにつなげられるようになったら、リズムを加えてアドリブしてみましょう。
ここでは次の3つのリズムを加えてアドリブしていきます。
コードトーンにリズムを加えたアドリブ例
3つのリズムに慣れてきたら自由にリズムを使ってアドリブしてみてください。
さまざまなリズムを使ったアドリブ例
はじめのうちは4分音符、8分音符などの簡単なリズムから始めて、徐々にいろいろなリズムを組み合わせて演奏してみましょう。
リズムに音を当てはめるイメージで練習してみてください。
G7でオルタードスケールを使ってみよう
コードトーンでコード進行の響きを覚えたら表現の幅を広げるため使う音を増やしていきます。そこで出てくるのがスケールです。
ここではG7でGオルタードスケールを使ってみましょう。
Gオルタードスケールの響き
コード進行の中でスケールを使えるようするため、終わりの音から一番近い音を探して弾いてみましょう。Dm7(b5)とCm7はコードトーンを使います。
スケールの響きになれてきたらアドリブに取り入れていきます。
Gオルタードスケールのリック
スケールはただ弾いているだけではジャズらしくならないので、Gオルタードスケールのリックを覚えていきましょう。
リックを覚えたらDm7(b5)のアドリブ練習ページで紹介しているリックとつなげてII-V-Iリックを作っていきましょう。
Gオルタードスケールを使ったII-V-Iリック
マイナーII-V-Iリック1
Dm7(b5)のアドリブ練習ページのリック1と組み合わせた例です。
マイナーII-V-Iリック2
Dm7(b5)でロクリアンリアン♮2スケールを使った例です。
マイナーII-V-Iリック3
Dm7(b5)のコードトーンと6th(B音)を使った例です。
マイナーII-V-Iリック4
Dm7(b5)でロクリアンリアンスケールを使った例です。
マイナーII-V-Iリック5
Dm7(b5)でクロマチックアプローチ(2弦2フレット)を使った例です。
マイナーII-V-Iリック6
Dm7(b5)でロクリアンリアン♮2スケールとクロマチックアプローチ(5弦4フレット)を使った例です。
リックを作ったらリック同士をつなげていきます。
Gオルタードスケールを使ったII-V-Iリックの連結
リックの無いCm7ではコードトーンを使ってアドリブします。
リックをつなげて弾くことに慣れてきたら、リック自体のリズムに変化をつけてより自然な流れになるようにアドリブしてみましょう。
コードトーンとリックを使ったアドリブに慣れてきたら、ここまでやってきた練習を全て組み合わせて演奏してみましょう。
Dm7(b5)-G7-Cm7でのアドリブ例
アドリブするときに大切なことは、歌いながら弾くことです。はじめはなかなか上手くいかないかもしれませんが、あせらずじっくりと取り組んでみてください。
- コード進行の響きを覚えるためバッキングを作る
- コードトーンを弾いてコード進行を意識する
- リックを使ってジャズらしい響きを覚える
- リズムを加えてアドリブする
- 歌いながらアドリブする
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