Night And DayはCole Porterが1932年に作曲。ミュージカルGay Divorceのために書いた曲です。
構成はA-A-Bの48小節。コード進行はbVIMa7-V7と半音進行を使っているのが特徴です。各コード1小節ずつ進行していくのでアドリブ練習の題材にもおすすめです。
ここでは年代順にコード進行を書き出し、曲の魅力を探っていきます
さまざまなアーティストの音源を聴きながら、お気に入りのバージョンを見つけて演奏してみてください。ますますNight And Dayが好きになるはずです。
Fred Astaire 1932年
Night And Dayのオリジナルバージョン。Key=Ebメジャーはもっとも多く演奏されています。
Django Reinhardt 1938年
Djangoは5回レコーディングしていますが、その中でもっとも古いのが1938年バージョン。[A]セクション最初のコードをm7(b5)にリハモしているのが特徴です。
Billie Holiday 1939年
イントロのMa7コードを使った4度進行はエンディングにもよく使われるアイデア。[A][B]は原曲に忠実なコード進行です。
Frank Sinatra 1942年
シナトラは1977年までに5回レコーディングしていますが、その中でもっとも古い1942年バージョンです。イントロはE音をペダルにしてトップのトライアドを動かすアイデア。F#/AはA13(b9)と同じ響きです。
[B]の前半8小節は動きのあるコード進行にリハモ。セーニョ後はシンプルな進行に戻ります。
Bing Crosby 1944年
原曲に忠実なコード進行です。イントロはCMa7一発。エンディングはMa7の4度進行が出てきます。
Charlie Parker 1953年
テーマはKeyEbメジャーですが、ソロはKeyCメジャーに転調しています。ストリングスを使った贅沢なアレンジが施されていますが、コード進行は原曲に忠実です。
Ella Fitzgerald 1956年
Verseから歌っている珍しいバージョンですが、ここでは本編の0:40秒からを楽譜にしています。コード進行は原曲に忠実です。
Art Tatum 1955年
原曲に忠実なコード進行です。イントロは[A]セクション後半8小節を使っています。
1956年バージョン
アルバムThe Art Tatum – Ben Webster Quartetの6曲目に収録されているバージョン。1955年バージョンとはキーが変わっているだけです。
Tal Farlow 1958年
イントロはドミナントコードの5度進行。エンディングにも使われます。
[A]セクションでは最初の2小節をAbm7-Db7、Fm7-Bb7のII-Vにリハモしているのが特徴。Abm7はFm7(b5)をリハモしたものです。
Bill Evans 1959年
[A]セクション1小節目をm7(b5)にリハモしている以外は原曲に忠実です。エンディングは半音上のMa7コードからIMa7へ解決するアイデア。どんな曲にも使える定番エンディングです。
Oscar Peterson 1959年
なんといっても[A]セクション3小節目のサイドスリッピングが特徴です。サイドスリッピングは半音上または下から目的のコードにアプローチする手法のこと。
OscarはEMa7に行って緊張感を高めてからDMa7-EbMa7とアプローチしています。
Stan Getz 1960年
Frank Sinatraのバージョンと同じく、トップのトライアドが動くペダルを使ったイントロです。エンディングにも使われています。
[A][B]のコード進行は原曲に忠実です。
Joe Pass 1964年
イントロのコード進行はIII-VI-II-V。コンピングはIIIとIIでm7(b5)を使っていますが、ジョーパスのアドリブがm7を想定したフレーズになっていたのでm7で記譜しています。
[A]前半8小節は半音で下降していくリハモ。これはテーマ部分のみでソロセクションはBMa7-Bb7-EbMa7になります。
Joe Henderson 1966年
イントロはDリディアンとCリディアンの繰り返し。エンディングも同様です。
[A]では4、8、13、14小節目にII-Vのリハモ、[B]では13、14小節目にII-Vのリハモが使われています。
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