リハーモナイゼーション(以下リハモ)は元のコードを別のコードに変えることで、楽曲に新たなハーモニーを与える手法です。
シンプルなコード進行を複雑にしたり、簡単なメロディを面白く聞かせることもできます。
ここではメジャーII-V-Iを例にさまざまなリハモをみていきましょう。
基本のコード進行とメロディ
CメジャーキーのII-V-I
メロディは3rdをガイドトーンにしています。リハモによってメロディの響きがどう変わっていくかに注目してみてください。
メジャーキーの代理コードを使うリハモ
同じキー内のコードは機能にて代理できるコードが決まっています。II-V-Iでは以下のコードを代理として使うことができます。
コード | 代理コード |
Dm7(サブドミナント) | FM7(Am7) |
G7(ドミナント) | Bm7(b5) |
CM7(トニック) | Em7、Am7 |
代理コードを自由に使ってリハモしてみましょう。
Dm7をFM7にリハモ
G7をBm7(b5)にリハモ
CM7をEm7にリハモ
CM7をAm7にリハモ
上記のリハモを組み合わせることもできます。
Dm7をFM7にG7をBm7(b5)にリハモ
元のコード進行と混ぜて2拍ごとのコードチェンジにすることもできます。
元のコード進行と組み合わせたリハモ
リハモでの注意点はメロディを邪魔しないことです。これを意識しながら、いろいろな組み合わせを試してみてください。
マイナーキーの代理コードを使ったリハモ
ルート音が同じマイナーキーのコードを代理として使う手法をモーダルインターチェンジと呼びます。Cメジャーキーの曲ならCマイナーキーのコードを代理として使うことができます。ナチュラルマイナー、メロディックマイナー、ハーモニックマイナーの3種類から作られるコードをII-V-Iの代理コードに当てはめると以下のようになります。
コード | 代理コード |
Dm7 | Dm7(b5)、F7、AbM7、Am7(b5)、Bb7 |
G7 | Bdim7(=Ddim7=Fdim7=Abdim7) |
CM7 | Cm7、EbM7 |
早速リハモしていきましょう。
Dm7をDm7(b5)にリハモ
Dm7をF7にリハモ
Dm7をAbM7にリハモ
Dm7をAm7(b5)にリハモ
Dm7をBb7にリハモ
G7をBdim7にリハモ
G7をDdim7にリハモ
G7をFdim7にリハモ
G7をAbdim7にリハモ
上記を自由に組み合わせることもできます。
Dm7をAm7(b5)に、G7をAbdim7にリハモ
2拍ごとにコードチェンジすることもできます。
Dm7をDm7(b5)、F7に、G7をBdim7にリハモ
最後にCM7をCm7にリハモしてみましょう。
CM7をCm7にリハモ
メロディのE音がCm7コードのEb音とぶつかってしまうので、この場合代理コードとしては使えません。トニックコードをメジャーからマイナーにリハモするときは、メロディの音が短3度の音とぶつからないように注意してください。3度以外の音ならマイナーコードにリハモすることができます。
CM7をCm7にリハモ、メロディ5度の場合
モーダルインターチェンジはメロディによって使えないコードも出てきますが、うまくリハモできると面白いサウンドになるので是非活用してみてください。
裏コードを使ったリハモ
裏コード(トライトーンサブスティテューション)は、同じトライトーン(減5度音程)を持っているドミナントコード同士は代理させることができる、という手法です。G7と同じトライトーン(B音とF音)を持つドミナントはDb7なので、G7の裏コードはDb7ということになります。
G7をDb7にリハモ
Db7に対するIIm7のAbm7を加えて、II-Vにすることもできます。
Db7をAbm7-Db7にリハモ
セカンダリードミナントを使ったリハモ
Dm7はG7へのセカンダリードミナントD7にリハモすることができます。
Dm7をD7にリハモ
Dm7をD7に、G7をDb7にリハモ
ドミナントはIIm7を加えることができます。
D7をAm7 D7にリハモ
G7をDm7 G7にリハモ
D7の裏コードAb7を使うこともできます。
D7をAb7にリハモ
D7をAb7に、G7をDb7にリハモ
Ab7に対するIIm7を加えることもできます。
Ab7をEbm7-Ab7にリハモ
Ab7をEbm7-Ab7に、G7をDm7-G7にリハモ
裏コードとセカンダリードミナントを組み合わせることで、リハモの幅が広がります。各コードにはテンションも加えることができるので、メロディに注意しながらいろいろなテンションを加えてみるのもおすすめです。
コルトレーンチェンジを使ったリハモ
コルトレーンが「Count Down」(元のコード進行は「Tune Up)で好んで使っていたリハモをそのまま使う手法です。
コルトレーンチェンジとメロディ
2小節目のAbMa7の3rdがメロディの#9thとぶつかってしまうので、コードをAbm7に変えてみましょう。
AbMa7をAbm7にアレンジ
コルトレーンチェンジを活かしつつ、メロディを邪魔しないリハモが完成します。リハモは簡単に曲の雰囲気を変えてくれるので、作曲にも役立つ手法です。コルトレーンチェンジのように、自分オリジナルのリハモを作ってみるのも面白いです。
リハモが学べるおすすめ教則本
「ハーモニーに新しいカラーを加える リハーモナイゼーションテクニック」はダイアトニックコードを使った初歩的な方法から、アウトで使える高度な方法まで、分かりやすくまとめられています。
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