Round Midnightはセロニアス・モンクが1943年に書いた曲で、彼の代表作のひとつです。
メロディやコード進行がとても独創的で、ジャズの歴史において多くのミュージシャンに影響を与えています。
この曲の魅力は、時代や演奏者によってそのコード進行が様々に変化している点にもあります。
そこで、ここでは1944年から1961年までのコード進行を書き出し、どう変遷しているか探っていきます。
お気に入りの録音を見つけたら、ぜひ聴き込んでみてください。
Cootie Williams 1944年
Round Midnightを最初に録音したのがクーティ・ウィリアムス。発売は1995年なので実に51年もの間お蔵入りになっていました。
特徴的なのは[C]セクションあること。この録音でだけ登場するので、モンクのオリジナルにはないクーティ独自アレンジ。
もし録音当時に発売されていたら[C]セクションンが当たり前になっていたかも?
Dizzy Gillespie 1946年
Round Midnightの原型を作ったのがディジー・ガレスピーです。イントロとエンディングは後にチャーリー・パーカー、マイルス・デイビスへと受け継がれます。
Thelonious Monk 1947年
モンク自身が最初に録音したのが1947年。ディジー・ガレスピーが作ったイントロを気に入って、そのまま使うことにしたとか。
[A]4小節目、Bm7-E7で演奏することが多いですが、この録音ではB7-Bb7sus4になっています。
Charlie Parker 1950年
Dizzy Gillespieのアレンジをそのまま使っています。この後マイルス・デイビスにも受け継がれます。
Bud Powell 1954年
独自のイントロとエンディングになっていますが、テーマ部分のコード進行はディジーと同じです。
Miles Davis 1955年
マイルスは何度もRound Midnightを録音していますが、ここではセロニアス・モンクがピアノで参加している1955年のライブ録音を選びました。
ディジー・ガレスピーのアレンジをそのまま踏襲しているのが分かります。
Kenny Dorham 1956年5月
ケニー・ドーハムの録音は構成こそ同じですが、[A]2〜3小節目や[B]7~8小節目などリハモされている箇所があります。
Art Farmer 1956年8月
オンベースの違いはありますが、イントロからエンディングまでディジーのコード進行をそのまま使っています。
Jimmy Smith 1957年
原曲のコード進行を大胆にリハモして、オルガンの響きとグルーヴを生かしたアレンジになっています。
メロディの邪魔さえしなければ自由にリハモできるジャズの魅力が味わえる名演。
Wes Montgomery 1959年
個人的に大好きなバージョン。コード進行はほとんどリハモされ、原型が残っているのは[A]の1、4、5小節目と[B]の2、5小節目のみ。
ウェスの演奏がとにかくカッコよくてずっと聴いてられます。
Grant Green 1961年
トリオ編成でテーマ中はコンピングがないですが、ベースラインが原曲とほぼ同じなので、コードネームは原曲に準じてつけています。
ソロのときの[B]7-8小節目は、ギターがEb7-Db7-Cb7、ベースがDb7-B7-Abm7と別々のコードを演奏するトリオならではの響きです。
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